バーテンダー/ブロガーのいのかず(@InoKazuBlog)です。
居酒屋やコンビニで売られている缶のお酒で、多くの人が一度は飲んだことがあるであろうカシスリキュールのカクテル。
カシスリキュールのカクテルは甘くて飲みやすいものが多く、自宅でも楽しめたら嬉しいですよね。
そこで、今回の記事ではバーテンダーである筆者が、カシスリキュールに特化して以下のことについてご紹介します。
「家でカシスリキュールを使ってカクテルを作りたい!」という人が知っておきたい知識を余すところなくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
プロ目線で美味しく作るレシピ・ポイントを解説!自宅で簡単に作れるジュース割り等もご紹介します。質問があれば、SNSのDMか記事下部のコメント欄に書き込んでください!
※当サイトでは、製本されていないネット上にのみ存在する出処のわからないカクテルや、カクテルコンペティションで受賞した個人のオリジナルカクテルは掲載しません。(簡単なジュース割り等除く)
そもそもカシスリキュールって何?
カシスリキュールは、その名のとおりカシス(クロスグリ)を使って造られる果実系リキュールです。
主にフランスのブルゴーニュ地方で造られ、中でも糖を250g/L使以上っているものは「クレーム・ド・カシス」と呼ばれます。
「クレーム・ド・カシス」は甘みの強いカシスリキュールということですね!基本的にカクテルはこの「クレーム・ド・カシス」タイプを使って作られるんです!
カシスリキュールの製法
カシスの酸化を防ぐため、収穫後24時間以内にリキュール製造に取り掛かります。
中性スピリッツとともに低温(氷点下)で寝かせ、数週間かけてエキスを浸出。
糖分を加え、果実由来の酸味とのバランスを整えた後、ろ過をして造られます。
使われるカシスの品種の中でも、高級品種「ノワール・ド・ブルゴーニュ」を100%原料としているカシスリキュールは、本当に美味しくておすすめです!3,000円以上して高いんですけどね…
カクテル以外にカシスリキュールを使う方法
カクテルを家で作ると言っても、なかなかリキュールは減りません。
そこで、カクテル以外でカシスリキュールを使う方法を以下にまとめました。
- バニラアイスにかける
- お菓子作りに使う
- 赤ワインと共に肉料理用のソースや煮込みに使う
上記の使い方はすべて15~20ml程度と少量で済むため、高級なリキュールを買ったとしても気兼ねなく使えます。
「買ったはいいけど全然減らない!」という人は、ぜひ試してみましょう!
カシスリキュールで簡単に作れるおすすめカクテル
こちらでは、最低限の道具(バーツール)さえあれば、誰でも簡単に家で作れるようなカクテルをご紹介します。
材料やレシピはもちろんのこと、美味しく作るポイントもご紹介していますので、参考にしてみてください。
※レシピは後述する銘柄「フィリップ・ドゥ・ブルゴーニュ」を使った分量です。使う銘柄によって味の濃さ等変わるため、参考程度にしてください。
上記カクテル以外にも、他のジュース割り・炭酸割り・ミルク割りなど、幅広く使える汎用性があるため、いろいろと試してみましょう。
カシス・ソーダ
- カシス:30ml
- レモンジュース:2tsp
- ソーダ:適量
使用グラス:タンブラー(10oz)
先に氷を入れておいても良いが、材料を先に入れることで、氷が溶けるのを怖がり焦って作るのを防げる。
ここでしっかりと材料を混ぜ合わせることで、ソーダを入れるときにより馴染みが良くなる。
氷に当てずに液体に直接ソーダを注ぐ。そうすることで炭酸が抜けづらく、さらに液体もこの時点である程度混ざる。混ざり切るか心配な場合は、半分量のソーダを注いでしっかりステアし、残り半分のソーダを注いで全体を混ぜる方法でもよい。
氷をバースプーンで数回持ち上げることで液体が流動し、炭酸に刺激を与えずに比重の重いカシスを混ぜられる。
「カシス・ソーダ」は居酒屋でもメニューにあり、多くの人が飲んだことのあるカクテルでしょう。
しかし実はこのリキュールのソーダ割りは、誰でも気軽に作れるけど美味しく作るのが難しいカクテルです。
カシスをしっかり混ぜ込まないと、最後のほうだけ甘ったるくなってしまうので注意しましょう。
レモンを入れることで酸味をプラスし、爽やかに飲めるようになっています!
カシス・オレンジ
- カシス:30ml
- オレンジジュース:約90ml
使用グラス:タンブラー(12oz)
しっかりステアをすることで、カシスの比重を軽くし、後に入れるオレンジジュースと混ざりやすくする。
見栄えを良くするために色を2層に分ける場合もあるが、カクテルの味としては混ざっておらず美味しくない。そのため、全体がしっかりと混ざり切るまでステア。お好みでオレンジスライスを添えてもよい。
「カシス・オレンジ」は多くの人が一度は飲んだことのあるカクテルではないでしょうか。
オレンジジュースは糖度が高く重い素材のため、しっかりとステアしないと重たく仕上がってしまうので注意しましょう。
軽めに仕上げたい人は、オレンジジュースを100%ではなく少し軽めの果汁にするのもおすすめです。
バーではまったく馴染みがありませんが、居酒屋では有名なカクテルですね。
カシス・ウーロン
- カシス:30ml
- 烏龍茶:約90ml
使用グラス:タンブラー(12oz)
しっかりステアをすることで、カシスの比重を軽くし、後に入れる烏龍茶と混ざりやすくする。
混ざったかどうかが色で判別しづらいが、カシスは混ざりづらいということを念頭に、全体をよく馴染ませる。
「カシス・ウーロン」は材料が2種類だけで非常に作りやすく、また味的にも飲みやすいカクテルです。
カシスと烏龍茶が上品に香り、ちゃんと作れば意外とレベルの高いカクテルに仕上がります。
使う材料によって味にかなり差が出る印象です。
こちらも居酒屋メインで、バーではまったく馴染みのないカクテルですね。
キール
- カシス:15ml
- 白ワイン:約120ml
使用グラス:ワイングラス
もっと甘さが欲しい場合は20ml、もっと白ワインを立てたい場合は10mlにするとよい。
グラスを見て分量が分かる場合は目分量でかまわないが、慣れてないうちは計量してもよい。
一見して色が混ざっていても実はしっかり混ざっておらず、最後にカシスの甘みがドッと感じられることがあるので注意。しっかり混ぜ合わせるか、スワリングしながら飲む。
「キール」は、フランス・ブルゴーニュ地方の都市ディジョンの市長の名前に由来したカクテルです。
使う白ワインによっても味が大きく変わるため、銘柄ごとにある程度カシスの分量を変えてみましょう。
カシス自体の甘みが強いため、個人的にはドライめの白ワインがおすすめです!シャルドネとかピノ・グリージョくらいがちょうどいいかな?
キール・ロワイヤル
- カシス:15ml
- スパークリングワイン(シャンパン):約120ml
使用グラス:シャンパングラス(フルート型)
飲み心地の良さや華やかさを感じるためにも、カシスの分量は多くしすぎないようにする。
スパークリングワイン(シャンパン)の味を引き立てるためにも、グラスを寝かせて注ぐより、細い線で液体を垂らして泡立てながら注ぐほうが美味しく仕上がる。
たくさんステアすると炭酸が抜けてしまうため、ステアというよりも、すくい上げるような感じで3回程度液体を混ぜる。
「キール・ロワイヤル」は、「キール」のベースを白ワインからスパークリングワイン(もしくはシャンパン)に代えたカクテルです。
飲み心地・味わいともに華やかなカクテルで、特に女性に人気が高い傾向にあります。
お祝いごとや、華やかに行きたい気分のときにピッタリのカクテルですね!
カーディナル
- カシス:10ml
- 赤ワイン:約120ml
使用グラス:ワイングラス
カシスと赤ワインを合わせると甘みが強くなる傾向にあるため、リキュールが多いとドシッとしたカクテルになるので注意。
グラスを見て分量が分かる場合は目分量でかまわないが。慣れてないうちは計量してもよい。
一見して色が混ざっていても実はしっかり混ざっておらず、最後にカシスの甘みがドッと感じられることがあるので注意。しっかり混ぜ合わせるか、スワリングしながら飲む。
「カーディナル」は、先程ご紹介した「キール」のベースを白ワインから赤ワインに代えたカクテルです。
赤ワインを冷やしている人は少ないでしょうから、常温で作ると出来上がりの口当たりが少々重くなります。
飲み疲れをしないためにも、「キール」よりも少しカシスリキュールを少なめにするのがおすすめです。
もちろん味の好みは分かれるため、リキュールの分量は増減してみてベストを探してみましょう!個人的には、少し軽めのワインを使うのがおすすめ!
カシスリキュールの上級者向けおすすめカクテル
シェーカーやミキシンググラスなど、バーテンダーが使うような道具を揃えて作るような、上級者向けのカクテルをご紹介します。
「カシス・オレンジ」「カシス・ウーロン」は通常ビルドで作るところ、実はシェークで作るほうが美味しくておすすめです。
空気が含まれて口当たりが重くならず、軽やかに飲めるカクテルに生まれ変わります。
特に「カシスオレンジ」は、ビルドだと口当たりが重たすぎます…
カシス・オレンジ(シェークVer.)
- カシス:30ml
- オレンジジュース:90ml
- レモンジュース:2tsp
使用グラス:ロックグラス
容量が多いため、3ピースシェーカーではなくてボストンシェーカーがおすすめ。空気がより入り込み、柔らかい口当たりと味わいになる。
しっかり冷やして混ぜ込むが、氷を砕かないように注意。
ストレーナーを使って液体を注ぎ、シェーカー内に残った氷をグラスに移す。お好みでオレンジスライスを添えてもよい。
本来はビルドで作るところ、シェークすることで味わいにより一体感が生まれ、口当たりも優しいカクテルに仕上がります。
少し泡立ってしまうのですが、見た目もそこまで気になりません。
個人的にはシェークのほうが断然美味しく感じます。
カシス・ウーロン(シェークVer.)
- カシス:30ml
- 烏龍茶:90ml
使用グラス:タンブラー(12oz)
通常はビルドのところ、シェークすることによって味に一体感が生まれます。苦味を感じづらくなり、カシスの甘みと烏龍茶の香り高さのみが感じられておすすめです。
混ぜる材料が2種類だけなので、振りすぎると単に水っぽくなってしまいます。割りと混ざりやすいため、シェークが多くならないように気をつけましょう。
ストレーナーを使って液体を注ぎ、シェーカー内に残った氷をグラスに移します。
「カシス・ウーロン」はシェークで作ると軽やかな甘みがスッと抜ける、心地良いカクテルに仕上がります。
ビルドで作ると少し烏龍茶の苦味が感じられるところ、シェークだとそれすら感じません。
バランスが良くなるため、ボストンシェーカーを持っているならぜひ作ってみましょう。
シェークだと少し泡立ってしまうものの、決して口当たりは不快なものではありませんし、味的にはむしろ美味しくておすすめ!
エル・ディアブロ
- シルバーテキーラ:45ml
- カシス:15ml
- ライムジュース:10ml
- ジンジャービア(辛口ジンジャーエール):適量
使用グラス:タンブラー(12oz)
日本ではビルドで作られることが多いですが、今回はシェークにしています。ビルドで作ると混ぜ込みの難易度が高く、意外と美味しく作れないことも。シェークだと味に一体感が生まれやすいです。
液体の容量が少し多いため、あまり振りすぎると水っぽくなってしまいます。しっかり混ぜつつも、振りすぎには注意しましょう。
ジンジャーエールで作るのが日本だと一般的ですが、ジンジャービアを使うことで甘すぎず、キレよくパンチのある味わいに仕上がります。ジンジャービアを入れるときには氷に当てず、グラス内の液体に直接注ぎましょう。
最後に2,3回優しくステアし、液体を混ぜます。お好みでライムスライスを添えてもよいでしょう。
「エル・ディアブロ」は、日本だと一般的にビルドで作りジンジャーエールを使うことが多いですが、今回は海外でスタンダードなシェーク・ジンジャービアの組み合わせで作りました。
ジンジャービアはビアといってもノンアルコールで、ショウガを発酵させて作られる天然の炭酸飲料です。
ジンジャービア(もしくは辛口ジンジャーエール)を使うことで甘さ・辛さ・爽やかさのバランスが取れます。
ビルドで作る場合は、グラスに入れてからミルクフォーマーで混ぜ合わせると味に一体感が出ます!普通にビルド・ジンジャーエールで作ると重たいカクテルになりがちで、飲み疲れてしまいます。
パリジャン
- ジン:35ml
- ドライベルモット:15ml
- カシス:10ml
使用グラス:カクテルグラス
大きめの氷を4つほど入れステアし、ミキシンググラスを冷やします。少し冷えたと思ったら、溶けた水をストレーナーを使って捨て、余分な水を残さないようにしましょう。
ジンのアルコール刺激やカシスの重たい甘さを出さないよう、しっかりステアします。思った以上にステアしないと、ガツン・ドッシリとしたカクテルになるので注意しましょう。
ストレーナーを使い、静かにカクテルグラスに注いだら完成です。
「パリジャン」は、材料やレシピ的に「マティーニ」の派生ともいえるカクテルです。
度数が高く飲みづらいカクテルでもあるため、美味しく作るにはある程度の技術が必要になります。
今回はジンを多めに入れているので、ステア回数と強度を調節して、なるべくアルコール感を強く出さないように作るのがベストです。
すべての材料が等量(20mlずつ)のレシピが基本ですが、これだと口当たりが重すぎて飲み疲れてしまいます…
おすすめのカシスリキュール
「初心者やコスパの良い商品を探している人におすすめの銘柄」と「本格的に味にこだわりたい人におすすめの銘柄」の、2種類のカシスリキュールをご紹介します。
ルジェは1,000円台、フィリップ・ドゥ・ブルゴーニュは3,000円台と、価格帯がハッキリ分かれています。
それぞれ違った良さがあるため、自分に合った価格帯のものを選びましょう。
ルジェ クレーム・ド・カシス
原産国 | フランス (ブルゴーニュ) |
容量 | 700ml |
度数 | 20% |
カシス品種 | ノワール・ド・ブルゴーニュ種 ブラックドーン種 |
「ルジェ」のカシスリキュールは、数あるカシスリキュールの中でもっとも有名な銘柄です。
人工的な保存料・添加物を一切使用していないため、ナチュラルな味わいが楽しめます。
価格を考えると特にネガティブなポイントも見つからないため、どの銘柄にしようか迷ったら真っ先におすすめしたいカシスリキュールです。
「700mlも使わない!」「まずは少ない容量で様子見したい!」という人は、200mlのタイプも売っています。
フィリップ・ドゥ・ブルゴーニュ クレーム・ドゥ・カシス
原産国 | フランス (ブルゴーニュ) |
容量 | 700ml |
度数 | 20% |
カシス品種 | ノワール・ド・ブルゴーニュ種 |
「フィリップ・ドゥ・ブルゴーニュ」のカシスリキュールは、カシスの中でも最高級品種であるノワール・ド・ブルゴーニュ種のみを贅沢に使用して作られる銘柄です。
使用カシス量が非常に多く、濃厚な味わいと芳醇な風味が感じられます。
1889年のパリ万国博覧会に出品された経歴を持ち、多くのバーテンダーにも愛用されている銘柄です。
今回ご紹介したカクテルはすべて、このリキュールを使って作っています!本当に上品で美味しく仕上がります。
カシスリキュールの扱い方
カシスリキュールを扱うときは、以下の3点に注意しましょう。
想像以上に混ぜ込む意識を持つ
カシスリキュールは比重がかなり重いリキュールです。
軽く混ぜるだけでは全然混ざらず、飲み進めていくと最後のほうが甘い、なんてことも。
一見液体の色的に混ざっていたとしても、時間が経つと分離してしまう場合もあるので、カシスリキュールは思っている以上にしっかりと混ぜる意識を持つと、一体感のある美味しいカクテルに仕上がります。
さらに、混ざりが甘いと味がドシッとしていて口当たりも重たくなります!飲み疲れてしまうんですよね。
使い終わったら必ず注ぎ口を拭く
カシスリキュールは糖度・粘性が高いため、使い終わったらボトルの口を拭かないと液体が垂れてしまい、ベタベタになってしまいます。
衛生的にも悪いですし、キャップもしくはコルクを閉めるときにキレイな布巾で拭きましょう。
ちなみに僕はこの布巾を使っています!
保存は冷蔵庫がおすすめ
もし自宅の冷蔵庫内にスペースがある場合に限ってですが、カシスリキュールは冷蔵庫保存がおすすめです。
自宅での使用だとなかなかリキュールが減らず、気づいたら買って2年くらい経っていたなんてことも。
常温でずっと置いておくと風味や味が劣化しやすくなるため、長期間保存したい人は冷蔵庫に入れておきましょう。
常温で保管する場合は高温多湿・直射日光を避け、なるべく早めに飲むとよいですね。ちなみに僕も冷蔵庫にスペースがなくて常温です!
カシスリキュールのカクテルについてのまとめ
カシスリキュールは多くの人に馴染み深いリキュールで、家でもつい買ってみたくなる人も多いでしょう。
しかしいざ買ってはみたものの、家でカクテルを作ると意外と美味しく作れず、リキュールを余らせてしまうことも。
そうならないためにも、この記事でご紹介したことをぜひ参考にしてみてください。
- カシスは重いリキュールなので、しっかりと混ぜる意識を持つ
- シンプルなカクテルほど難しく、作り方を工夫しないと美味しくならない
- おすすめのリキュールは1,000円台もしくは3,000円以上のもので、2,000円台の中間層はおすすめしない
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